知的財産管理技能検定 1級(特許専門業務)学科試験の傾向分析

知的財産管理技能検定

 

こんにちは、喜至です。

先日、Twitterでこんなやり取りがありました。

ということで、今回は知的財産管理技能検定1級(特許専門業務)学科試験の出題傾向と勉強方法をお伝えします。

この記事では私が実際に2012年から2018年、計7回分の過去問を解いて、科目の分類を行い、科目の出題数と出題割合を算出しました。
勉強のスケジュールや優先順位を決めるのに参考になれば幸いです。

また、私なりにですが、各科目の勉強方法、ネットでの情報収集の方法をまとめています。

 

【出題傾向】

2012年から2018年に行われた、計7回の学科試験の出題傾向は下記の通りです。

知的財産管理技能検定1級の試験は制限時間100分で45問の問題を解きます。採点基準は公開されていませんが正解率80%(36問)が合格ラインと言われています。

出題割合が最も高いのは特許法(日本)です。日本の技能検定なので当たり前ですね。
次に割合が高いのは米国特許法です。毎年6問以上は常に出題されています。これは日本から米国へ出願するケースが多いからでしょうか。
3番目は知的財産戦略です。企業の知財部で業務をしている方なら、セオリーを理解していたり、なじみがあるかもしれませんが実務に携わっていないと感覚がわからない部分ですね。
この3科目については出題範囲も広く、出題割合も高いため、多くのリソースを割く必要があります。

上位3科目以外は一桁代の出題割合であるものの、上位3科目の合計は約54%しかなく、3科目をすべて正解したとしても合格ラインには届きません。また、価値評価や関税法、パリ条約やPCT関係の問題は出題数こそ少ないものの、毎年必ず出題されています。確実に出題される科目は当然対策をする必要があります。

他の科目についても出題されない年がありますが、出題される時は2~3問程度がまとめて出題されます。誤解答が9問までしかできないと考えるとこちらも決して捨てることはできません。

このように知的財産管理技能検定1級は出題割合に多少の偏りはあるものの、出題範囲は広く薄く、満遍なく出題されており非常に対策がしづらいのが特徴です。合格には優先順位と勉強にかかる時間を勘案してスケジュールを立てる必要があります。

【勉強方法】

・特許法
特許法について解説した弁理士試験用の参考書を購入した方がいいでしょう。弁理士試験用の参考書であれば網羅性が高いですし(お値段も高いですが・・・)、実務でも役に立ちます。法改正によって内容が変わっている単元もありますので、参考書はなるべく出版年が新しい物を購入した方がいいです。効率を求めると穴ができるため、最低でも過去問にでてきた単元は丸ごと勉強するようにした方がいいと思います。


・米国特許法
こちらも条文を解説した参考書を購入して勉強する必要があります。ネットでは網羅的に解説しているサイトなどは見当たりませんし、参考書にひとつの情報が集約されていた方が情報を検索する手間が省けます。ネットの検索は参考書に載っていない事項や判例を探すなどの補助的な使い方をしたほうがいいと思います。索引に単語や条文が載っている参考書ですと必要な情報を検索しやすいので購入の際は注意してみてください。


・知的財産戦略
これは特許庁が発行している「戦略的な知的財産管理に向けて技術経営力を高めるために<知財戦略事例集>」をダウンロードして精読することをお勧めします。問題はこの資料から抜粋されて作成されるケースが多いからです。問題文や選択肢に使われる単語もこの資料に準拠した単語が使用されるので本番でも迷うことがない。
・審査基準
こちらも特許庁から「特許・実用新案審査基準」が発行されていますのでこちらを参照することをお勧めします。理由は同上です。


・特許情報・調査
主な出題事項はFIFターム、CPCなどの特許分類や先行技術調査、パテントクリアランス調査についてです。特許調査について基本的な事項が網羅、解説されている参考書があれば足りると思います。


・契約、民法、独占禁止法
過去問を見てもらえば分かりますが、問題中で契約文書が提示され、その条文の適否を出題される形式が多いです。契約文書をよく読めば常識の範囲内で解ける問題もあれば、民法、不正競争防止法や独占禁止法を知っておかなければ分からない問題も出題されます。民法、不正競争防止法や独占禁止法については知的財産管理技能検定2級程度の知識は最低限補充しておく必要があります。


・民事訴訟法
特許権侵害訴訟などに関わる訴訟の手続きについて出題されます。訴訟の流れや弁論主義について最低限、勉強しておく必要があります。

・関税法
1問だけですが毎年必ず出題されます。出題されるのは知的財産を侵害している物品の輸出入の差し止め手続きの流れが中心です。こちらは専門の書籍を見てもいいですが、税関のホームページで「知的財産侵害物品の取締り」の項目を見てもらえば必要十分な内容が載っていると思います。


・中国特許法、欧州特許法
中国特許法は1問だけコンスタントに出題されています。あまり深い内容は出題されていない印象です。PCT出願から中国への国移行時の注意点(マルチクレーム、審査請求時期など)を重点的に学習しておけばいいと思います。
欧州特許法は2018年に1問だけ出題されました。国移行に関する出題でしたが、他にデータがないので傾向はわかりません。様子見といったところでしょうか。


・パリ条約、PCT
1~3問程度、毎年必ず出題されています。2つの科目は合わせると出題割合が約10%となります。特許庁に説明資料などがありますが、実務上もよく参照しますので特許法と同様に参考書を購入して勉強した方が確実だと思います。


・弁理士法
関税法と同様、1問だけですが毎年必ず出題されます。主に弁理士ができる業務とできない業務について出題されます。日本弁理士会のHPに記載がありますが、書籍にも目を通しておく方がベターです。


・価値評価
関税法や弁理士法と同様、1問だけですが毎年必ず出題されます。主に知的財産を買い取ったり、ライセンス、担保にする時の値段、価値の評価手法について出題されます。特許庁の「知的財産の価値評価について」という資料に手法について詳しく解説されています。専門の書籍もありますのでそちらを参照してもいいでしょう。


・資金調達
知的財産を担保にした融資や信託について出題されます。それほど出題頻度も出題数も少ないので浅くインプットしておけばいいと思います。


・特許行政年次報告書
毎年出題されるわけではありませんが、出題される時は2、3問程度出題されますので無視できません。出題は特許庁の資料である「特許行政年次報告書」から出題されます。知的財産管理技能検定は実施年の5月までの情報で構成されるため、特許行政年次報告書の発行日に注意してください。今年分の報告書が発行されていなければ去年の報告書から出題されます。出題内容は日本国内の出願件数の推移に対する考察や外国出願の出願件数推移に関する内容が出題されます。

 

勉強に使用した参考書や資料は下記記事にてまとめています。

以上が私なりの知財検定1級の傾向分析および対策となります。

いかがでしたか?参考になれば幸いです。

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