なぜ会社は特許権侵害に対して権利行使をしないのか?

特許
お疲れ様です。喜至です。

 

今日は昨日に投稿したした記事の続きを書いていきます。

 

 

権利行使のためにいろんな準備をしましたが、結局会社は権利行使をしないという選択に至りました。あきらかな侵害があって、実際にシェアが相手に喰われている。
しかも相手に特許権が1つもないので訴えても訴え返されるリスクはありません。

 

こんなドラクエでいうとスライムみたいな練習相手なかなかいないと思うんだけどな・・・(’A`|||)

 

製品を独占的に販売するために苦労して特許権を取得して、何十年と年金払ったのに、侵害品を発見して権利行使しないとは・・・。どんな理由が考えられるんでしょうね。
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日本で特許権侵害訴訟ってどの程度あるの?

日本における特許権侵害訴訟の件数を調べてみました。

 

特許権訴訟件数

引用元はこちら

 

米国は20倍近く、中国は10倍近くの訴訟件数です。争いを避けたがる日本人の国民性が表れていますね。あまり話に聞かないので、「侵害訴訟ってよくわかんないから怖い」というのが日本の会社の偉い人の本音かもしれませんね。

 

この本音を「他の企業とのトラブルは企業イメージを低下させる懸念がある」とか、「損害賠償目当てで訴訟を起こすパテントトロールと思われる」などのもっともらしい言い訳で綺麗に包装しているのかもしれません。

相手との関係性

権利行使を行う相手との関係性によっては経営判断で権利行使できない場合もあるようです。

 

例えば、相手が特許権を持っていてこちらから権利行使することで、相手の保有特許で権利行使をされてしまう可能性が高い場合などは藪蛇になることを恐れて権利行使を行わないという判断もありえます。(私のケースではこれには該当しませんが)

 

なた、相手が別の事業では顧客だったりする場合などは関係性の悪化を恐れて権利行使をしないという判断をすることもあるそうです。さらに、顧客が2社購買できなくなることで顧客の利益を毀損する可能性がある場合も権利行使を行わない理由となるようです。(私のケースではこれが大きかったかも・・・)

特許権侵害訴訟を起こすことによる期待値

日本において特許権侵害の訴訟を起こした場合、原告が勝訴する確率は統計的には3割程度のようです。残りの7割は4割:権利範囲外、3割:特許権の無効となっています。

勝率が低い要因として、証拠の入手しやすさも関係しているこもしれないですね。米国ではディスカバリーによる証拠集めがありますから立証が日本よりは容易でしょうしね。

 

特許権侵害訴訟で得られる賠償金などは米国と比べると30倍以上の差があるとのことです。米国では故意侵害の場合は3倍賠償とかいう麻雀みたいなルールもありますしね・・・。

 

日本では得られる損害賠償額が低い&勝率が高くないことで、侵害訴訟を起こすことで得られる利益の期待値がどうしても低くなってしまうことが日本で特許権侵害の訴訟が起きない原因の一つと言えそうです。(私の会社はそんな考えに至っていなかったけど・・・)

誰が責任を取るのか問題

特許権侵害訴訟には当然リスクもあります。これまで言ってきたように特許を無効化されたり、逆に訴えられるケースなどです。

 

こういったリスクがある中で誰が権利行使を行う最終的な判断をするのか、大体は知財部の役員や社長などの個人でしょう。この判断する個人の特許権侵害訴訟の理解度や度量によって特許権がパワーを発揮できるかが決まってしまいます。どんなにすごい量の水を貯蔵していても蛇口が小さければ水はぜんぜん出てこないのと一緒で、どれだけ強力なポートフォリオを保有していても、外部に作用する力にはなりません。

 

社長や役員も人間ですから自分の許容できるリスクには限度がありますし、それをよく理解できていないことならなおさらです。

 

こういった判断を行う個人によるボトルネックというのも権利行使を妨げる要因の一つでしょう。

 

私のケースの場合はだれが決断するかすら社内でルール決まっていなかったのでそれ以前の問題でしたけどね。誰も責任を取りたくないので「保留」というのが本音でしょう。

 

この部分については個人に決断の負荷をかけすぎないルールや基準をつくらないと解決できないような気がしますね。
私が考えたのは以上です。他にもあるかもしれませんが・・・。
私のケースで権利行使が行われなかった要因をまとめると
1)私の会社の経営陣は特許権侵害訴訟についてよくわかっていない
2)よくわかっていないからリスク、責任を恐れる
3)顧客に迷惑がかかる可能性があると過度に消極的になる
の3つが該当すると思います。他の要因とあわせて次回はこの3つの要因を重点的にケアすることを念頭に置いて業務をすすめる必要がありそうです。
それでは。

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