2025年を見据えた市場動向分析

銘柄分析

 こんにちは、喜至です。昨年は本格的に株式投資を始めて、銘柄のファンダメンタル分析や特許情報分析をおこなってきました。反省点としては分析対象とする銘柄選定がいきあたりばったりすぎたなと・・・。元々は「財務」「市場」「特許」情報の3つを分析することで銘柄の本質的価値に迫るというのがコンセプトなわけでして、昨年のやり方では産業動向や政策を含めた「市場」の要素が置き去りになっていたように感じます。そこで今回は「市場」情報に目を向けてみたいなと思います。

産業別の需要・成長性

 まず、産業動向ですが、みずほ銀行が発行している「みずほ産業調査 vol.66」を参考資料としてみていきたいと思います。このレポートは日本産業の中期見通し(向こう5年:2021–2025年)の需給動向と求められる事業戦略を盛り込んだレポートとなっています。産業別の動向はもちろんのこと、各産業の比較がされているため、有望な産業を絞り込むのに便利だと思いました。全432ページありますので、産業別の需要動向のみかいつまんでみていきましょう。すべての内容を確認したい方はみずほ銀行HPからどうぞ。

 下図は2021年から2025年までの向こう 5 年間について、縦軸に日本企業の「プレゼンスの方向性」、横軸に「需要の成長性」をとり、日本産業の位置付けを示した図です。「プレゼンスの方向性」は、現状の日本企業及び海外競合企業の市場シェア、規模・資本力、技術力・経営力・戦略などを、みずほ銀行産業調査部が総合的に評価し、日本企業の向こう 5 年間における相対的なプレゼンスの水準や方向性に関する見通しを 3 段階評価したもの。また、「需要の成長性」は、各業種のグローバル需要と国内需要の成長率を、主要企業の国内外売上高比率で加重平均した数値を参考に、日本企業にとっての向こう 5 年間の国内外需要の成長性を、みずほ銀行産業調査部が総合的に評価し、3 段階評価したものとなっています。

 成長産業で日本企業に優位性のある産業はどれでしょうか?図から国内外を含めた需要の成長性が高い産業は、半導体などの「主要電子部品」、「ロボット」、「医薬品」、「医療機器」であることが分かります(非製造業を除く)。その中でも日本企業が高いプレゼンスを持っている産業は「主要電子部品」、「ロボット」の2つに絞られます。もちろん、個別企業単位でみれば評価の低い産業でも高い利益を上げている企業もあると思いますが、まずは主要電子部品とロボットの2つを詳しく見ていきましょう。

 また、後の国策と絡む話ですが、洋上風力発電などに関連する「電力」や「重電」、水素・蓄電池などに関連する「化学」産業は総合的な需要の成長性もプレゼンスもあまり高くなさそうです。一応、2020年10月の菅首相の所信表明演説を加味して作成されたレポートのため、国策を考慮したうえでこの評価ということでしょう。

主要電子部品

 下の表は主要電子部品の需要の年平均成長率とプレゼンス方向性、求められる戦略の方向性を示したものです。

みずほ産業調査 vol66より引用

 需要の成長性、プレゼンスともに高いですね。表の補足事項として、主要電子部品は半導体と電子部品に大別されて予測がされています。電子部品は年平均+3.9%成長する予測ですが、半導体は年平均+5.1%とさらに高い成長率となっています。半導体の成長要因としてはスマホの買い替え需要、データセンタの投資継続がけん引役となるみたいです。半導体は米中対立が更に激化した場合、米国仕様と中国仕様という 2つのスタンダードが併存する、米中デカップリングシナリオが想定され、2 つのスタンダードを前提とした戦略の策定が求められる可能性があります。銘柄選びの際はこのデカップリングが影響する事業かどうかも重要な観点となりそうですね。投資する企業を絞り込むにはこれらの需要やリスクを勘案したうえで、サプライチェーンの知識補完やキーとなる技術・材料の特定が必要ですね。技術的な観点ではTSMCの5ナノメートルチップが2024年時点では非先端技術となっている予測がされていました。微細化技術への投資を行っている企業を特許情報から特定するのも攻め手としてよさそうです。

ロボット

 現在のロボットユーザーは自動車と電気電子産業です。直近はコロナウイルスの影響で自動車、電気電子産業(主に半導体)共に設備投資に慎重になっており、2020年の需要は微減となっています。2021年はこれら主要ユーザー産業における需要回復を受け、設備投資の回復が見込まれますが、自動車についてはグローバル販売台数の成長鈍化に伴い、生産能力増強に向けた投資は減少しており、自動車製造に多数使用される特定用途向けロボットの需要の伸びも減速しています。今後のロボットによる自動化のけん引役は、搬送や組立といった汎用工程向けになると見込まれ、これまで従業員の手作業に頼っていた組立、艤装、検査といった汎用工程向けのロボットの需要が拡大すると期待されています。また、これまでロボットの導入・活用が相対的に進んでいなかった一般産業機械、小売、電子機器、物流、食品や医薬品や化粧品(いわゆる三品)といった領域においても、技術の進展とコストの低減を背景に、主に組立、搬送などの汎用工程向けでロボットによる自動化進展が見込まれます。今後の需要が見込まれる産業や用途については今後の分析でもポイントとなりそうですね。 

政策動向(国策)

 国策としてどの産業に資金を投入しているのかを経済産業省の予算からみてみましょう。下表の予算案は2020年12月に予算案の閣議決定がなされ、2021年2月~3月あたりで国会で採決→実施される予定の予算案になります。

 まずは全体を見てみます。

経済産業省関係 令和2年度3次補正予算案・令和3年度当初予算案のポイント

 金額がけた違いに大きいのが、一般会計のうち、中小企業対策費とエネルギー対策特別会計・カーボンニュートラルのうち、カーボンニュートラル(基金)です。

 中小企業対策費の内容はコロナの影響によって打撃を受けた中小企業の支援(補助金や無利子融資)などが中心のため割愛します。もう一方のカーボンニュートラル基金についてみてみましょう。

令和3年度 資源・エネルギー関係予算案の概要

 この基金はカーボンニュートラルに関する特定の分野の技術開発を支援する基金のようです。その額2兆円。対象となる技術分野は①次世代蓄電池技術等、②水素供給・利用技術、③CO2の固定・再利用技術の3つ。これらの技術開発・社会実装を10年に渡って支援するとのことです。技術開発費の負荷が軽減されるのは企業にとって利益の後押しや競争力の強化につながりそうですね。

 また、上記基金とは別に脱炭素化に向けた下記支援を行っていくようです。

経済産業省関係 令和2年度3次補正予算案・令和3年度当初予算案のポイント

 基金でも挙がった、蓄電池や水素、CO2固定・再利用はかなりの税金が流れ込んでくる見込みですね。それ以外にも次世代太陽電池や洋上風力など、技術的に分析しがいのあるテーマも見られます。ホントにこれらの技術がエコなのかはさておき、ESG投資の波も相まって投資家の注目度は高くなるでしょう。次世代製品のニュースや特許取得がカタリストになる可能性も考えられます。どの企業がカタリストを発生させうる技術力をもっているかを特許情報から分析するのもアプローチとしてよさそうです。

まとめ

 今回は産業動向や政策動向を見てみました。要点としては、

  • 世界的な需要成長性が見込まれ、日本企業のプレゼンスが高い産業は「主要電子部品(特に半導体)」「ロボット」
  • 「重電」や「電力」、「化学」は産業単位では成長性やプレゼンスは低いものの、個別技術単位では政策の支援が手厚い分野がある。特に①次世代蓄電池技術等、②水素供給・利用技術、③CO2の固定・再利用。

 今後は上記産業のサプライチェーン分析を行い、将来的に大きな価値を生み出すポイントとなる分野を特定し、財務分析および特許情報分析から有望銘柄の特定につなげていきたいと思います。

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