こんにちは、喜至です。
ちょうど一カ月前くらいにこんな記事を書きました。
この記事では、日本の特許侵害訴訟では得られる損害賠償額が低い&勝率が高くないことで、侵害訴訟を起こすことで得られる利益の期待値がどうしても低くなってしまうことが日本で特許権侵害の訴訟が起きない原因の一つと考察しました。
そして先日、日本経済新聞のwebサイトに「特許侵害、立ち入り検査導入、知財保護へ立証しやすく」というニュースが飛び込んできました!
なかなかタイムリーなニュースですね(o^∇^o)ノ
見どころは大きく二つです。
①立ち入り検査制度の導入で侵害立証がしやすくなるかも
②損害賠償額算定方法の見直しによる損害賠償金額がアップするかも
2つとも「かも」が付いているのはまだ確定してないからです(・∀・)
3月に法案が国会に提出される予定とのことです。
しかし、2つの改正案が通れば勝率&損害賠償UPにつながるのは間違いないですね。
面白くなってきやがった!(^∀^)
それでは詳しく見ていきましょう。
①立ち入り検査制度の導入で侵害立証がしやすくなるかも
一定の要件を満たすと、特許庁から「験証人」なる人を派遣して侵害の証拠を収集してくれるそうです。
その「一定の要件」とは以下の4つです。
1)必要性
→侵害立証に必要な資料であること。当たり前ですね。
2)蓋然性
→特許権侵害の蓋然性(侵害しているだろうということ)が認められること。蓋然性ってどの程度なんでしょうね。それ次第で使える制度なのかどうかが大きく変わりそうですね。
3)補充性
→他の手段で収集することが容易でないこと。まぁ妥当かと・・・
4)相当性
→相手方に不相当な金銭的等がないこと。これは被告側の回避策になってしまいそうな気がするなぁ(’A`|||)
ちょっと不安な要件もありますが、無いよりはましでしょう。
しかし、特許庁の資料中で「伝家の宝刀として運用されることが期待される」と書いてあるのが気になる・・・
「伝家の宝刀」
意味:いよいよという場合のみ使用するもの
あまり気軽に使える制度にならなさそうですね。民事訴訟法の観点からも紛争な速やかな解決は趣旨に合致してますし、短期間で決着をつけることがお互いや裁判所のの負担軽減につながると思うんですが・・・。
形だけの制度にならないことを祈ります。
②損害賠償額算定方法の見直しによる損害賠償金額がアップするかも
算定方法の見直しによって、特許法102条1項、2項、3項を併用できることが法律に明記される可能性があります。
特許法102条ってなんぞや(´・ω・`)
って人のために簡単に解説しますと、
特許法102条とは損害の額の推定方法を規定した法律です。
1項
譲渡した数量に応じて損害賠償額を推定。
2項
侵害者の利益を損害額と推定。
3項
実施料に相当する額を損害賠償と推定。
(ダイブざっくりいうとこんな感じです)
それで、元々これらの損害額の推定は併用することが「できる」とも、「できない」とも言ってなかったんですね。併用された事例もありませんので、現状は「できない」のほうが有力なんでしょうが・・・
それを今回の改正案で「併用できる事を法律に明記しましょうよ」ってことらしいです。
法案が通るかどうかは分かりませんが、賠償額が上がる方向になるのはいいことですね。いままではどうしても不実施の企業なんかは戦っても戦果が得られにくい状況でしたし、追い風になるでしょう。
これらの法案が通ればますます特許や知財の重要性が認識されそうです。出願戦略やクリアラ
ンス業務を進められる人間が重宝される環境になるのは私的にはウェルカムです。
ンス業務を進められる人間が重宝される環境になるのは私的にはウェルカムです。
今後はこの変化にうまく対応した企業もでてきて差がつくのでしょうね。
いかがでしたか?参考になれば幸いです。
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