特許IRは株価上昇のカタリストとなるか?

銘柄分析

 こんにちは喜至(きし)です。今日は知財関係者で投資をしたことがある方なら一度は考えたことがあるであろうテーマ、特許IRと株価の影響について調べてみました。研究開発、知財に携わっている方なら技術や発明が企業価値(時価総額)に寄与しているはずだ!と考えている方も多いのではないでしょうか?結果は如何に。早速見ていきましょう。

はじめに

今回の調査の動機は単純明快で、特許IRが株価を押し上げるカタリストになり得るのであれば特許出願動向と特許登録のウォッチングをしていれば特許取得のタイミングで買い、特許IR掲載後に売れば短期で利益が得られるのではないか?というものです。こういったコンセプトですので、調査対象とする業界は特許と業績の関係が深い医薬を選び、さらに値動きと特許取得を積極的にIRでアピールするベンチャー企業を対象としました。調査対象とする銘柄はバイオベンチャーの雄、「アンジェス」です。

①特許取得件数と特許IR数

 そもそも取得した特許はすべてIRとして取り上げられるのでしょうか?知財関係者じゃないかぎり企業側からのIRがないと投資家側は特許取得の事実を知らないことが大半でしょう。これではカタリストになりえないし、特許登録を見越して株を買ってもIRが発表されるまで長期で保有する羽目になるかもしれません。これは値動きが激しいバイオベンチャー投資ではリスクですよね。そこでアンジェスの特許登録数と実際の特許IRの件数を確認してみました。下の表はアンジェスがこれまで取得してきたすべての特許権(日本のみ)になります。その数49件。このうちIRで掲載されたのはなんと・・・

 

25件!

いやーきついっす(-_-;) ということは特許登録に合わせて株を買い、IRを待ち伏せしていても約半分は待ちぼうけを喰らうことに・・・。しょっぱなからちょっと厳しい結果ですね。

②特許登録日と特許IR発表タイミング

 次に特許登録後のIR発表までのタイミングをみてみます。ベンチャーの株価は短期間でジェットコースターのごとく変動しますので、できるだけ保有期間を短くできるタイミングで購入したいからです。下のグラフは特許登録日から特許IRが発表される日までの日数をヒストグラムであらわしたものです。平均としては特許登録から約2か月ちょい(68日)でIRがでてるようです。ヒストグラムでは60日~100日の間に集中してますね。最長で88日、最短で18日とばらつきが大きく、特許登録日を察知してもベストな購入のタイミングを予測するのはほぼ不可能と言ってよさそうです。これまた厳しい結果に(-_-;)

③特許IR発表後の株価の値動き

 最後は最も重要な要素である値動きをみてみましょう。これまでの厳しい結果も株価が2倍、3倍になるならまだ望みはあるかもしれません!今回の集計では日本特許だけでなく海外の特許も含めた全52件の特許IRを対象にしています。株価については特許IR発表日の終値と翌日の終値を比較し、値動きをパーセンテージで調べてみました。

 特許IR発表後の値動きは平均で1.14%となんとも残念な結果に(-_-;)。最大でも20%弱の上昇しかしておらず、さらにヒストグラムでみてみるとほとんどの値動きが-5%~+5%の間に集中していることが分かります。つまりほとんど値動きがないと言っていい笑。

まとめ

 アンジェスを例に特許IRを利用して株で大儲けできないかを検証してみた結果のまとめです。

  • 特許を取得したからと言って、すべてが特許IRになるわけではない(アンジェスでは50%程度)
  • 特許登録日から特許IR発表までは2ヶ月以上の期間を開けることが多く購入のタイミングをはかりにくい
  • そもそも特許IRはほとんど株価に影響を与えないと考えられる

  以上の結果から「特許IRは株価のカタリストになるか?」については「ならない」、仮に「カタリストなったとしても適切なタイミングで売買することが困難」となります。う~ん、なんとも残念な結果(-_-;)。株式投資に役立つ特許情報の活用方法としては、これまで通り業界分析や対象銘柄の技術開発動向、優位性の分析が有望かな?

 株式投資に役立つ特許情報の活用方法については今後も試行錯誤していろんなケースを試していきたいと思います。もし記事の内容を気に入っていただけましたらTwitterで「いいね」、「フォロー」をしていただけると励みになります。

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