知的財産管理技能検定 1級(特許専門業務)実技試験の傾向分析

知的財産管理技能検定
こんにちは喜至です。
 
ちょうど1年前に知的財産管理技能検定1級(特許専門業務)の学科試験対策について記事を書きました。
せっかく学科試験について書いたのだから、実技試験の傾向分析も行おうと思っていたのですが、本業が忙しく、なかなか記事を作成することができずにいました。
というわけで、今日は知的財産管理技能検定1級(特許専門業務)の実技試験について書いていきます。
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【実技試験内容】

実技試験は筆記試験と口頭試問で構成されています。まず、5問の筆記試験を20分(回によって変動あり)行い、続いて筆記試験内容を試験官に説明する口頭試問を10分行います。合格基準は満点の60%以上となります。
 
筆記試験については、学科試験の時のような4つ選択肢から適切、不適切な選択肢を1つ選ぶという形式ではなく、1問につき3つの選択肢が提示され、各選択肢に問題点が「ある」or「ない」を選ぶ問題です。なので実質的には5問×選択肢3で、計15問の問題とみるべきでしょう。
 
ポイントは後の口頭試問で自分の解答について理由を説明しなければならないため、学科試験のように消去法で解答を選ぶことができない点です。よって、正解を選ぶ能力だけでなく、根拠まで説明できる能力が必要となります。こういった試験の特性から考えるに、実技試験は学科試験においてまぐれで合格した受験者をふるいにかけることが目的なのかもしれません。

 

【出題傾向】

2014年から2019年に行われた、計6回の実技試験のデータは下記のとおりです。
1級実技試験

まず目につくのは出題科目の少なさです。学科試験では民法や民事訴訟法、税関法、弁理士法など18科目程度が出題されましたが、実技試験ではわずか8科目しか出題されていません。実技試験の対策範囲は学科よりも狭いと考えていいと思います。ただし、あくまで過去の実績であってこれからの試験が絶対にこの範囲でおさまるということではないので、学習範囲は自己責任で決めて下さい。

出題科目は学科試験でも多くの割合を占めていた特許法や知的財産戦略が約7割を占めています。合格基準が60%以上であることを考えると上記2科目は集中的に時間を割くべき科目といえます。知的財産戦略については様々な資料から出題がされています(資料の欄を参照)。直近2年は知財戦略事例集から出題されているようです。
そして学科試験では特許法に次いで出題割合の高かった米国特許法の出題割合がガクンと下がっています。かわりに中国や欧州、学科試験ではみかけなかった韓国特許法の出題が増えています。諸外国特許法の重要性は学科試験よりも増していると考えられます。
 
特許情報・調査については年によってばらつきがあるものの、出題される年は3問(1問につき選択肢3つ)まとめて出題されるため、ヤマをはって勉強しないという選択をするのは大きなリスクとなりそうです。
 
不正競争防止法については2018年に1問だけ出題されています。今後のことは分かりませんが出題割合も1%程度ですのであまり時間を割く必要はないかと・・・。

【勉強方法】

特許法

 過去問を読み解く限り、学科試験と出題内容は変わりません。よって学科試験までにおこなった勉強の復習を行えばよいと思います。ただし、口頭試問対策として解答の根拠が説明できるように条文が制定された背景や目的等も押さえておく必要があります。

 

知的財産戦略
 省庁資料の内容を一部変更して出題されるケースが多いですが、ベースとなる資料が年ごとにばらばらで予想ができません。試験実施年に近い資料から出題されるときもあれば、古い資料から出題されるときもあります。最低でも「戦略的な知的財産管理に向けて-技術経営力を高め るために-<知財戦略事例集> 」の内容は押さえておきましょう。

 

諸外国特許法
 過去の出題内容は以下の通りとなっています。
1級実技試験(諸外国特許法)
 出願から権利化までのプロセスに関する出題が大半を占めています。また、出題方法としては、日本出願を基礎として優先権主張で諸外国の権利化を図ろうとしているケーススタディが多いです。よって日本特許法の権利化プロセスの復習と同時に諸外国との要件の比較を行いながら学習することをお勧めします。

 

特許情報・調査
 過去問では出願前の先行技術調査や侵害予防調査を想定した出題がされています。よって特許分類の特性や検索項目を限定する意味(特許請求の範囲、全文)について、検索目的に応じて選択できる知識が重要となります。

 

教材

学科試験と大きく変わりません。

 

追加で購入が必要なのは、韓国や欧州での出願業務に関する参考書ですね。韓国や欧州の権利化実務を理解するには下記書籍が十分な内容かと思います。
 
 
 
実務で今後も使う人は購入してもいいと思いますが、試験のためだけであれば図書館を利用したり、メルカリで中古を購入するのも一案です。

 

ちなみに、手前味噌で恐縮ですが、出題割合が高い特許法や知的財産戦略については私が作成した問題集を利用していただくと実技試験対策になると思います。一問一答形式で解説も載っていますので、解説内容まで暗記すれば口頭試問にも対応できると思います。

 

以上が私なりの知的財産管理技能検定1級(特許専門業務)実技試験の傾向分析と対策になります。
参考になれば幸いです。

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