【ブリヂストン】技術開発動向レポート

技術開発動向

こんにちは、喜至です。
この記事ではブリヂストンがどのような分野の技術力の強化をおこなっているかをIR資料と特許情報から見てみたいともいます。投資の参考にしていただければと思います。

また、ブリヂストンのファンダメンタル分析も行っておりますので、事業内容や財務状況はそちらをご覧ください。

 

ブリヂストン事業概要

セグメント利益
出典:ブリヂストンHP 財務ハイライト

世界シェアトップのタイヤメーカーであり、稼ぎ頭は当然自動車用のタイヤです。多角化事業としてスポーツ用品や工業用化工品の事業を行っていますが、近年はあまり利益が出ておらず、2019年度はほぼ利益0のようです。

株式指標

※2020年8月5日時点

株価:3157円

PER:7.79倍

PBR:0.93倍

配当金(2019年実績):160円

配当利回り:5.07%

現在はやや割安で配当利回りも高いですね~。減配しなければですが・・・。
配当金と配当性向の推移もIR資料にありました。
配当推移
出典:ブリヂストン 2019年度決算説明会資料

9年連続で減配なしで増配または維持しています。配当性向も高すぎず、とても有望だと思います。

特許出願動向(マクロ分析)

※以下からすべて日本における分析です。

全体の出願件数

出願件数
※2019年はまだ公開されていない特許出願が多数ありますので参考としてください。

 出願件数は全体的に減少傾向ですね。2013年から出願件数が確定している2018年までの平均減少率は-32%になります。それに対して研究開発費は増加傾向で反比例しています。ネタ切れ?それとも開発領域を縮小(集中)している?このままではすっきりしないのでさらに分析してみます。

出願分野とその推移
それでは事業ごとの特許出願状況をみてみましょう。表の見方を説明しますと、各事業に関連する特許分類(テーマコード)の出願件数(2013年~2019年)と年ごとの出願件数をヒートマップという形で示しています。出願件数が多い年は赤いセル、少ない年は青いセルであらわされています。年ごとの変化が青→赤に変化している分野は近年、特許出願数が増加しており、研究開発が活発であることが直感的に分かります。逆に赤→青に変化している分野は特許出願数が減り、研究開発が進んでない可能性があります。増減率は2013年~2015年までの出願件数と2016年~2018年までの出願件数を比較した際の増減率となり、近年の活発度を表す指標としています。
(2019年の出願件数はまだ未確定のため考察には使いません。参考程度です。)

出願動向

全体の出願件数が減っていますので当然ですが、ほとんどの事業で出願件数が減っています。主力の自動車タイヤ事業についてもほぼ全体の平均に等しい減少率でした。化工品事業もホースを除いて平均以上に減少しています。また、どの事業にも属していないテーマコードとして、3D241(光起電力装置)が大幅に減少し、2018年は0件となっています。中身を確認したところ、この出願は太陽光発電の封止材の特許群で、新規事業として種まきをしていたのでしょうか?しかし、出願推移をみるに、上市する前に開発をリタイアした可能性が濃厚となっています。
その他に注目すべき分類として3D241(駆動装置の関連制御、車両の運動制御)、5L049(管理・経営・業務システム、電子商取引)が挙げられます。件数自体は少ないものの、全体の出願件数が大きく減少する中、極端に大きな増加率を見せています。これは他の分野に比べて極めて重要な特許群である可能性が高いと考えられます。どのような内容の特許なのでしょうか?それぞれの特許群をテキストマイニングしてみました。

3D241(駆動装置の関連制御、車両の運動制御)
_種々のタイヤを装..._wordcloud
 文字の大きさはその単語が使用される頻度を表しています。「路面」のキーワードを中心に「サンプリング」や「検出」などの情報を取得する単語が、「振動」や「周波数」「dry」「問題点」など検出対象と思われる単語が並びます。また「判別」「演算」「推定」などがつづくことから、路面の状態をなんらかの手段で検出して、その情報に基づき何かを判定し、車両を制御する特許と推定されます。

5L049(管理・経営・業務システム、電子商取引)
_ 文献1に記載さ..._wordcloud (1)
こちらの分類では「タイヤ」を中心に「トレッド」「内圧」「摩耗」とタイヤ状態に関するキーワードが、さらには「貸出」「カーシェアリング」、「メンテナンス」などが続くことから、カーシェアリングサービスをターゲットとしたメンテナンスシステム、サービスの特許と推定できます。

公開資料から戦略を読み解く
テーマコード3D241や5L049の特許出願がどのようなビジネスにつながるのか、2020年7月8日に公開されたブリヂストンの「中期事業戦略構想」の中に答えがありました。
中期経営計画資料1
出典:ブリヂストン 中期事業戦略構想 2020年7月8日

ブリヂストンはタイヤの製造販売をコア事業としつつ、システムやサービスの販売を成長事業として位置づけするようです。成長事業としては2つ、「タイヤセントリックソリューション」「モビリティソリューション」です。順番に見ていきましょう。
まずはタイヤセントリックソリューションから。

中期経営計画資料2
出典:ブリヂストン 中期事業戦略構想 2020年7月8日

これはタイヤからデータ(空気圧やデータ)を収集して製品の改良だけではなく、顧客の効率的なモビリティ運用を手助けするサービスを構築しようとしているみたいです。

つぎにモビリティソリューション。
中期経営計画資料3
出典:ブリヂストン 中期事業戦略構想 2020年7月8日

 タイヤセントリックソリューションの発展系で、タイヤだけでなく、車両そのものからもデータを収集し、社会や顧客事業の課題を発見→ソリューションを提供するというより大きなサービスを目指すようです。

どちらのビジネスも先ほどテキストマイニングしたテーマコード3D241や5L049の特許群との関りが大きいビジネスです。このビジネスに必要なテクノロジーとして、タイヤや車両からデータを得る方法やシステムの権利化を本格的に進めていることが分かりました。

ここではテクノロジーに関する考察までです。収益構造などは資料を直接みてください。

タイヤ分野のミクロ分析

上記のような独自のビジネスモデル機能させるにはタイヤからのデータ収集が不可欠な要素となります。マクロでみたタイヤの出願件数は減少傾向でしたが、独自ビジネスモデルに関連するタイヤの特許についてはどうでしょうか?もう少しミクロな視点で出願推移を見てみましょう。
ミクロな視点でみるため、テーマコード3D131(タイヤ一般)に属するFタームをみていきます。
(特許分類の意味がわからない方は、Fターム=テーマコードをさらに細かく分類したもの、と思っておいてください)
3D131BC00(タイヤ一般、課題)に属する出願推移を見てみます。多いので代表的なものを抜粋しました。

タイヤミクロ
タイヤとして一般的な課題である、「転がり抵抗の低減」や「操縦安定性」「耐久性」「騒音の低減」の出願が減少してる中、よくわからない「帯電防止」という課題が高い増加率を見せています。
タイヤと帯電・・・、私の知識ではまったく結びつかないのでGoogle先生に聞いてみました。どうやら、車は走っているうちにタイヤに静電気が溜まっていき、この静電気を放電せずにそのままにしておくと電装系や電子機器に悪影響を及ぼすとのこと。なので通常、昔の自動車には静電気を地面に逃がすアースベルトというものがついていたが、現在はタイヤから直接アースをとって静電気を逃がしているいるとのこと。
これは独自ビジネスモデルにおけるタイヤからのデータ収集がセンサーなどの電子機器から行っているとすれば、非常に関連性が高い特許群と考えられる。

さらに3D131LA00(タイヤ一般、試験・予測法)の「内装物」に属する出願推移を見てみると、
タイヤミクロ2
タイヤの「内装物」として「センサ」が「固着または埋没」されている特許の出願が急激に増加していることがわかる。先ほどの「帯電防止」はやはりセンサーを保護、センシング情報を正確に取得するための技術と推定される。また、温度や摩耗、内圧を「検出対象」とする出願もあわせて急激に出願が増加していることがわかる。

 つまり、タイヤにおける特許出願傾向のまとめとしては、ブリヂストンは独自ビジネスモデルを成立させるためのアイテムとして、センサーを埋め込んだタイヤの開発に今後も注力していく可能性が高い。この開発、参入障壁の形成が成長事業として据えている「タイヤセントリックソリューション」や「モビリティソリューション」の成功のカギになると考えられる。

独自ビジネスモデルの競合状況

独自ビジネスモデルの構築に必要となる、センシングタイヤに関連する特許分類である、3D131LA03(タイヤへのセンサーの埋没や固着)および3D131LA06(タイヤからのセンシング)のFタームをつかって特許検索を行い、他の企業との出願傾向、実際の権利取得状況を比較した。

■センシングタイヤの出願動向
各企業の年ごとの出願件数をバブルチャートであらわした。バブルの大きさと数値がその年の出願件数となる。

タイヤ_センサ検出_競合出願動向
 ブリヂストンは他の競合に対して開発が先行しており、近年では出願件数が他社を圧倒していることがわかる。

■センシングタイヤの権利取得状況
他社に先駆けて精力的出願していることがわかったが、権利として取得できているのだろうか?現時点で有効な各メーカーの権利取得数と全体における割合をパイチャートであらわした。
タイヤ_センサ検出_特許シェア
ブリヂストンの権利取得数はトップで3割弱の特許シェアを保っている。近年の出願件数が他社を圧倒していることから、この先も差を広げていくものと予想される。センシングタイヤというハード面における技術的・特許的な優位性は、成長事業としている独自ビジネスモデルの高い参入障壁を築く可能性があり、非常にポジティブな状態と考えられる。

まとめ

1)ブリヂストンの多角化事業は営業利益が年々減少しており厳しい状況。

2)配当金は9年連続で減配なし&配当性向も高すぎず、利回りも高く高配当銘柄として有望。

3)将来的にはタイヤや車両からデータ収集を行い、ソリューションサービスを提供する独自のビジネスモデルを成長事業として推進していく。

4)独自ビジネスモデルに必要な技術開発と特許出願を精力的に行っており、他社に先行している状況。

5)独自ビジネスモデルに必要な技術の特許化(権利化)についても順調に進んでおり、技術的・特許的な参入障壁を築く可能性が高いと考えられる。

以上となります。いかがでしたでしょうか。投資の参考となればうれしいです。それではまた!

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