【アンジェス】技術開発動向レポート

技術開発動向

こんにちは喜至です。

 この記事ではアンジェスがどのような技術開発を行ってきたか、またどのような技術開発をおこなっているかをIR資料と特許情報から見ていきたいと思います。参考にしていただければと思います。

アンジェスの事業概要

 アンジェスは遺伝子医薬品の研究開発を行っているバイオベンチャーです。

ビジネスモデル

出典:アンジェスHP 2019年12月期 決算説明会資料

 アンジェスは大手製薬会社のように研究開発から製造、販売までを一貫して行っていません。大手製薬会社と提携して新薬の研究開発を行い、契約一時金や開発進捗に応じたマイルストーン収入、薬が上市されるとさらにロイヤリティ収入を得るというビジネスモデルです。こういったビジネスモデル上、新薬に関する特許の取得はロイヤリティ収入を得るためにも必須と言えます。

株式指標

※2020年8月11日時点

株価:1568円
PER:―(赤字のため算出不可)
PBR:8.96倍
配当金:なし

コロナウイルスワクチンの開発に名乗りを上げたことで株価が急上昇した銘柄です。しかし、2002年に上場してから、一度も黒字を出していません。バイオベンチャーではめずらしくないことみたいですが・・・。大手製薬会社との提携や株式発行によって活動資金を得ている状況のようです。

重点事業プロジェクト

アンジェスが手掛けている重点事業プロジェクトは下記の通り。

事業

出典:アンジェス通信 20期(2018年)

 まずHGF遺伝子治療薬というのは糖尿病などによる動脈硬化によって血行不良が起こっている部分の血管新生を促して血流を改善する治療薬です。2019年に田辺三菱製薬から「コラテジェン」という名称で販売が開始されています。
 次に上市が近いNF-kBデコイオリゴDNAのアトピー性皮膚炎への適用ですが、上記表や2017年の決算短信にも記載の通り、臨床試験で優位差が見られなかったため開発方針を検討中とのことです。2020年8月現在で続報がないことから上市は見送られるものと考えられます。特許出願については後述します。
 DNAワクチンについてはまだ上市までの道のりが長い案件ですね。特許出願については後述します。
 ナグラザイムについては米国のバイオマリン社が製造している薬をアンジェスが日本国内での販売権を取得していましたが2019年3月末で契約終了してます。アンジェスの業績と関係がなくなりましたのでここでは触れません。
 また、皆さんが注目している「コロナウイルスワクチンの開発」ですが2020年3月に開発を開始したため、まだ情報がありません。

 よってこの記事ではHGF遺伝子治療薬がアンジェスの収益に与える影響についての考察がメインとなります。

 アンジェスが大手製薬会社と行っているロイヤリティ契約はどうなっているのでしょうか?契約内容は決算資料から見つけることができました。内容は以下の通り。

keiyaku

出典:アンジェス 平成28年12月期決算短信

 田辺三菱製薬と結んだ契約内容によると、HGF遺伝子治療薬からロイヤリティが得られる期限は特許権の満了から5年間と推定されます(契約書を見たわけじゃないので明確じゃありません)。冒頭でも触れた通り、2019年から販売が開始し、ロイヤリティが得られる状態となったので、この状況が何年続くかが収益に直結するポイントと考えられます。
では、HGF遺伝子治療薬の特許存続期間はどのくらいなのでしょうか?全体の特許出願動向と共にみてみましょう。

特許出願動向

全体の特許出願件数推移

出願推移

 まず、アンジェスの年ごとの特許出願件数を調べてみました。出願件数は上市した2002年~2005年をピークに右肩下がりとなっています。特に近年では0~2件ほどしか出願がなく、ロイヤリティをメインの収入源とする企業として、あまりよろしくない状況なのでは?というのが第一印象ですね。
 研究開発費が捻出できていないのか?と思いましたが、そんなこともないようです。出願件数ピーク期間と直近の研究開発費をみても、投資額と成果(発明)のバランスが不釣り合いだと思います。発明のネタがないのだとすれば中長期的にも苦しい状況になりそうですね。

HGF遺伝子治療薬(コラテジェン)の特許について
 アンジェスの特許の中から、HGF遺伝子治療薬に関する「権利として有効な特許」、「権利化の可能性がある出願」を検索しました。検索キーワード=(HGF or 肝実質細胞増殖因子)×(血管 or 動脈)

HGF存続特許

 HGF遺伝子治療薬に関する特許は13件みつかり、すべて権利化済みの特許でした。出願係属中、すなわち待ってれば特許になる可能性のある出願はない状態です。よって権利化されている特許の満了期間(特許として有効な期間)をみればロイヤリティ収入がいつまで見込めるかを見積ことができます。特許の満了は早いもので2020年、最も長いもので2023年です。田辺三菱製薬との契約内容によると、契約期限は「特許権の満了後5年」とありますので、ロイヤリティがもらえる期限は早くて5年後の2025年、長くて2028年までとなります。契約の対象となっている特許が特定できないため幅がありますが5~8年でこれまでの投資を回収できるほどの収入が見込めるのでしょうか?感覚的にですが難しいような気がします( ^ω^)・・・。
 ちなみにHGF遺伝子治療薬をリンパ浮腫に適用しようとするプロジェクトと特許出願(2件)がありましたが、平成29年にアンジェスからプロジェクトの中止が発表されています。臨床で効果が見られなかったみたいです。
 その他にも3件ほどHGF遺伝子治療薬関連の特許が見つかりましたが、現在進めているプロジェクトとの関連は薄いです。

その他、直近(2015年以降)の出願動向
 あまり古い特許だとライセンス収入を得ることは難しそうなので2015年以降に出願した特許のみを抽出してみました。

2015年以降の有効出願、特許

 2015年以降に出願された13件の特許出願の内、7件が権利化、1件が出願係属中(審査待ち)となっています。プロジェクトごとに見ていくと、
 DNAワクチンはIR資料にもあった通り、高血圧を対象とした特許が取得できたみたいですね。これで臨床試験の結果がでれば上市でき、ロイヤリティを得る可能性がでてきます。またIR資料に出ていない内容として、高血圧のほかにも癌や動脈硬化症を対象とした特許を取得しています。
 NF-xBデコイオリゴDNAに関しては自己免疫疾患や炎症性腸疾患を対象とした特許を取得しています。これはIR資料などでは出ていない部分ですね。また、係属中の出願として次世代デコイとして位置づけられているキメラデコイに関する出願が特許として権利化される可能性が残っています。デコイの詳細については決算短信の「研究開発活動に関する説明」をみると内容がわかります。

まとめ

1)収益の源となる特許出願(発明)の数は減少傾向。というか直近5年は4件。
 →ロイヤリティで収入を得るビジネスモデルのバイオベンチャーとしてこれでいいのか?
 →長期的には大手製薬会社にライセンスできるネタがなくなる?次のプロジェクト次第。

2)現状、ロイヤリティが得られる状況にあるHGF遺伝子治療薬(コラテジェン)についても、ロイヤリティが得られるのは早くて2025年まで、長くても2028年までと考えられる。
 →これまでの研究開発投資の回収は厳しそうか?

3)直近(2015年以降)はDNAワクチンやNF-xBデコイオリゴDNAに関する特許の取得があった。IR資料では発表されていない、癌や動脈硬化症、炎症性腸疾患などを対象としている。臨床試験の予定に関しては不明。

以上となります。いかがでしたでしょうか。投資の参考になればうれしいです。感想や分析してほしい銘柄があればDMやコメントをください。それではまた!

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