【ケー・エフ・シー】技術開発動向レポート

技術開発動向

こんにちは、喜至です。
この記事ではケー・エフ・シーがどのような技術力の強化をおこなっているかを特許情報から見てみたいとおもいます。投資の参考にしていただければと思います。

また、ケー・エフ・シーのファンダメンタル分析も行っておりますので、事業内容や財務状況はそちらをご覧ください。

技術開発動向(マクロ)

研究開発費と特許出願数

 下図はケー・エフ・シーの研究開発費と特許出願件数を年ごとにまとめたグラフになります。ちなみに特許は公開されるまでにタイムラグがあります。2019年および2020年の出願件数はまだ確定していないため参考程度に見てください。

 研究開発費は平均で1億円前後と、売上高の1%未満で製造業平均(2~3%)よりも低いですね。そのわりに毎年コンスタントに15件程度の出願があるのはすごいと思います。かなり知的財産の獲得に力を入れている企業だと考えられます。

出願分野と推移

つづいてケー・エフ・シーがどの分野に特許を出願しているか、時系列もまじえてみていきましょう。この推移をみることで企業の技術開発の注力分野を予想します。下表が分野と出願年ごとの特許出願件数を表したヒートマップになります。表の見方を説明しますと、出願件数が多い年は赤いセル、少ない年は青いセルであらわされています。年ごとの変化が青→赤に変化している分野は近年、特許出願数が増加しており、研究開発が活発であることが直感的に分かります。逆に赤→青に変化している分野は特許出願数が減り、研究開発が進んでない可能性があります。増減率は2005年~2011年までの出願件数と2012年~2018年までの出願件数を比較した際の増減率となり、近年の技術開発の活発度を表す指標としています。

 特許出願件数として一番多いのは2D155(トンネルの覆工・支保)とケー・エフ・シーの強みであるトンネル工事関連の特許となります。増減率はあまり大きく変わらず、今後も継続して技術開発が行われていくことが予想されます。

 増減率に注目すると、2D006(ロックボルト)や2E125(建築構造の接合一般)がそれぞれ127%、333%と2倍以上に出願件数が増加しています。急激に出願件数が増加していることから、近年ケー・エフ・シーが技術開発にリソースを多く割いている可能性が高い分野となります。それぞれ個別にみてみましょう。

ロックボルトの技術開発状況

ロックボルトとは

ロックボルトとはトンネルや山の斜面に施工するコンクリートを支保する補強材のことを言います。地盤に穴を開け、そこにロックボルトを差し込んで定着させることで地山の変形やすべりの発生を抑制する補強材です。

ケー・エフ・シーHPより引用

特許出願状況

ロックボルトを製品として扱う企業はケー・エフ・シーだけではありません。他社の特許出願状況とあわせて出願年ごとの出願件数をみてみましょう。下図はロックボルトに関連する特許出願を行った出願人と出願年ごとの出願件数をバブルチャートであらわしたグラフになります。中央の数値が出願件数で、件数が多いほどバブルが大きくなります。

  ケー・エフ・シーの特許出願推移をみてみると昔から現在まで絶えず研究開発を行っていることがわかります。また近年は出願件数が右肩上がりに増加しており、より研究開発意欲が旺盛であることがうかがえます。ロックボルトのシェア首位なのもうなづけますね。他社と比較すると、ケー・エフ・シーと同じように昔から継続して出願を行っている企業として鹿島建設が挙げられます。しかし、鹿島建設のほか、大成建設、日油技研工業、鉄道総合技術研究所などの大半の企業はケー・エフ・シーの仲間と考えられるため脅威にはならないと考えられます。理由は後述します。

 この中で競合としてロックボルトを製造販売しているのは岡部(株)となりますが、2015年以降特許出願がありません。発明が生まれていない、またはロックボルトの研究開発自体を行っていない可能性があります。

権利取得状況

 特許は出願するだけでなく権利になってはじめて機能します。ケー・エフ・シーが今も昔も他社に比べて旺盛に出願しているのはわかりましたが、ちゃんと権利化はされているのでしょうか?下図はロックボルトに関して実際に権利となった特許の保有数と全体に対する割合を示したパイチャートになります。

 ケー・エフ・シーの特許シェアは1位となっており、最も影響力が大きいと考えられます。また、2位の岡部に約2倍の差をつけています。岡部が2015年以降に特許出願を行っていないことからも、ケー・エフ・シーが今後もより大きな差をつけて独走していくことでしょう。この状況であれば売り上げのシェアもさらに広げていけそうですね。

あと施工アンカーの技術開発動向

 2D006(ロックボルト)とは別に急激に出願件数が増加していた分野である2E125(建築構造の接合一般)ですが、なんの特許出願なのでしょうか?特許の内容をテキストマイニングしてみたところ、「あと施工アンカー」に関する出願であることがわかりました。ケー・エフ・シーの主力製品ですね。

2E125のテキストマイニング結果

あと施工アンカーとは

 あと施工アンカーとはコンクリートに物を固定する際に使われるネジや釘のような資材です。コンクリートが固まった後にドリルで孔をあけ、あとからモノを固定するので「あと施工アンカー」と呼ばれます。

サンコーテクノHPより引用

特許出願状況

あと施工アンカーを扱う他社の特許出願状況とあわせて出願年ごとの出願件数をみてみましょう。下図はあと施工アンカーに関連する特許出願を行った出願人と出願年ごとの出願件数をバブルチャートであらわしたグラフになります。中央の数値が出願件数で、件数が多いほどバブルが大きくなります。検索式=((アンカー AND コンクリ―ト AND 施工)AND(2E125) ) OR (あと施工アンカー OR 後施行アンカー)

 ケー・エフ・シーの出願件数の推移をみてみると、ロックボルトと違ってこちらは最近になって出願が増加している分野になります。他社と比較すると、住友大阪セメントやサンコーテクノあたりが昔から現在まで継続して技術開発を行っているようです。特にサンコーテクノはあと施工アンカーのシェアトップの企業ですので要注意ですね。全体的には2015年以降に各社の出願件数が少なくなり、空白地帯が目立ちます。開発が後発になっている点はケー・エフ・シーにとって不利な状況ですが、他社が足踏みをしている間に今の出願推移が続くなら今後の状況は変わってきそうですね。

権利取得情報

 ケー・エフ・シーの権利化状況を確認しましょう。下図はあと施工アンカーに関する実際に権利となった特許の保有数と全体に対する割合を示したパイチャートになります。

 現在、権利数が最も多い企業は岡部(株)となりました。2番手にシェアトップのサンコーテクノとなります。ケー・エフ・シーは保有権利数は3件となっており、上記のパイチャート上ではその他にまとめられています(ランキング圏外)。直近で開発に注力しているものの、現時点で特許的に大きな影響力は持っていないと考えられます。

 しかし、出願状況の分析でも説明した通り、最近の他社出願、技術開発はあまり活発に行われていないのが現状です。直近で旺盛に開発・出願を行っているケー・エフ・シーの出願が権利化されればパワーバランスが大きく変わる可能性があります。下図は現在、審査待ちとなっている出願の数をバーチャートであらわしたものです。この数が多い企業ほど、今後権利数が増加する伸びしろが高いことを示しています。

現在、最も権利数が多い岡部は2014年以降、1件も特許を出願していないため審査待ちの案件はなく、伸びしろはありません。サンコーテクノも審査待ちは2件しかなく、この2件が権利になっても合計で10件の権利数になります。対してケー・エフ・シーは9件の審査待ちがあり、現在取得している権利の3件を合計すると最大で12件まで権利数が増加する可能性があり、岡部やサンコーテクノにならぶ特許シェア(影響力)となる可能性があります。

共同開発状況

 ケー・エフ・シーの特許情報分析からわかった面白い特徴として、共同出願の多さが挙げられます。下表に共同出願先と推移の一部を抜粋します。

 スーパーゼネコンといわれる5社(竹中工務店・清水建設・大林組・大成建設・鹿島建設)の内、3社と共同で特許出願を行っています。すなわち共同で工事に関する技術や製品の開発を行っていることを示しており、主要取引先のニーズに合致した技術開発を共同で行い工事受注や製品採用率を上げる戦略であることがうかがえます。また、中日本高速道路(ネクスコ中日本)や鉄道総合技術研究所(JR総研)との共同出願も同じような観点と考えられます。さらに主力製品であるボルトやアンカーに関連する共同開発先として、建設資材の化学品を製造販売している日油技研と継続して共同開発を行っていることがわかります。ロックボルトの特許出願分析で仲間と表現したのはこのためです。

 このようにケー・エフ・シーは技術開発を主要取引先や他分野の材料メーカーと共同で行うことで工事受注、製品採用、製品改良を戦略的に行っていることがわかります。

技術開発動向まとめ

特許情報からおこなった技術開発動向をまとめると・・・

  • 技術開発はケー・エフ・シーの得意分野であるトンネル工事に関する技術の開発がもっともボリュームとして大きい。また、主力製品であるロックボルトやあと施工アンカーの技術開発が活発
  • ロックボルトは継続的に技術開発を行っており、近年ではより活発に開発を行っている。それに伴って特許シェアも高く、今後も他社を引き離して大きな影響力をもつと考えられる。
  • あと施工アンカーに関しては開発が後発であり、現時点では影響力が小さい。しかし他社の開発意欲が低下する中で、近年は多数の出願を行っている。この将来への種まきがうまくいけば他社への影響力が高まり、今後のシェア拡大につながると考えられる。
  • ケー・エフ・シーは主要取引先と共同で技術開発を行っており、顧客のニーズに合致した技術・製品の開発を行うことで工事受注や製品採用率を高める戦略をとっていることがうかがえる。また、化学などの他分野に強い材料メーカーとの共同開発も行っており外部リソースを活用した開発力もあると考えられる。

個人的には技術力やそのポテンシャルが大きい企業だと感じました。また創出した技術を知的財産として保護する知財リテラシーの高さ、外部の仲間づくりのうまさも、継続的に利益を上げていくにはプラス要素だと思います。ファンダメンタル分析の結果とあわせて考えても投資を検討していきたい銘柄です。

分析は以上、となります。いかがだったでしょうか?もし記事の内容を気に入っていただけましたらTwitterで「いいね」、「フォロー」をしていただけると励みになります。

本記事は特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資をする際は自己責任で投資判断をお願いします。

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